2012 栽培レポート その2 (6月から12月)

6月 新植 摘芯
昨年植えつけたシャルドネ、メルロ、試験栽培品種は非常に順調な生育を見せた。
同じく昨年植えつけた生食ブドウについては、やや緩慢な印象を受けた。
両者の違いはおそらく圃場の日当たりによる生育の違いではないかと思われる。
なお、今年は苗の入荷の関係で6月上旬にワイン用品種の新植を行った。
主に新植した品種は、シャルドネ・カベルネフラン・ピノノワール・その他。
因みに新植苗には8月中旬までの間、定期的に水やりを行った。一見簡単で目立たない作業であるが水の入った10kg近いバケツを提げて、1000本の苗に1回10リットル丁寧にかけてまわるのはおそろしく時間がかかり、体力も使う。若い研修生2人が担当してくれたが、彼らの忍耐強さのおかげで新植苗は順調に伸びた。
※6月に開催した新植祭には2日間で180名の方が参加。

7-8月 結実 梅雨明け
今年は比較的雨の多い梅雨であったが、梅雨明けが早かったためその後の生育は生食用ワイン用ともに順調に推移した。
お盆にかけて非常に激しいゲリラ豪雨が数回あり、この結果安芸クイーンに裂果が起こった。元々安芸クイーンは裂果の多い品種であるがゲリラ豪雨による極端な水分変動により例年になく多くの房に裂果が見られた。
試験栽培のワイン品種について8月上旬より、昨年植えつけた品種「シーガレーベ」の一部が結実して熟期を迎え始めた。最初は黄緑色の果皮で強いマスカット香を有していたが、登熟がすすむにつれて果皮はピンク色にかわり特有のマスカット香は薄れてきた。8月下旬になると糖度のピークが16度で止まり、酸度は5%まで落ちてそのまま腐敗が始まった。もう少し糖度が上がってほしかったが、酸度の減少を見るとこれ以上は当地では厳しいものがあると思われた。他の試験栽培品種については来年の結実を待つことになるが、当地においてシャルドネにつぐ有望なブドウが見つかることを期待したい。

9-10-11月 収穫
生食用ブドウの出来は、8月のゲリラ豪雨の影響を受けて裂果が目立ったものの糖度、色づきともによい出来であった。ワイン用品種のシャルドネについては、例年の2.5倍の収穫量となった。収量増加は天候による影響が大きいものの、ボルドー液散布のタイミング改善とキャノピー管理がうまく行き、以前と比べて安定した収穫が見込める目途がついた。今後はさらなる品質改良を目指して行きたい。メルロに関しては、シャルドネ同様に細かな管理をしたものの例年並みの壁を超えることは出来なかった。来年度は果房の管理を重点的に行っていきたい。ベリーAについては、5月に行った花穂整形により、程よいバラ房で完熟したきれいなブドウに仕上がり、昨年以上によい出来であった。不安を口にしていたパートさん達も見事な出来栄えに驚いていた。

各品種の収穫は下記の通り
9月上旬 ピノノワール収穫

9月中旬 安芸クイーン収穫(生食)

9月下旬 シャルドネ収穫

10月上旬 ピオーネ(生食)
10月中旬 メルロ収穫

11月下旬 マスカットベリーA収穫

12月  圃場整備
来年春に向けた新植圃場の準備として約60aの休耕地を整備した。森に帰りかけている鬱蒼とした畑を手作業で(鎌とノコギリ)整備するのは、パートさん達の根気にかかっている。昨年も行った休耕地の圃場整備であるが、とても困難な作業を毎年進められるのはひとえにベテランパートさん達のチームワークと職場の雰囲気がなせる業でありTETTAの強みのひとつである。

総評
今年はぶどうの当たり年であった。
一番の要因は梅雨明け以降、好天に恵まれた事であるがパートさんと研修生の努力がぶどうの出来に反映された事も大きい。またシャルドネは、キャノピー管理と細かい防除が成功したおかげで今後は安定した収量を見込める目途がついた。ベリーAについては、品質向上のために行った花穂整形が功を奏し今までで一番の良い出来に仕上った。来年の課題としては、メルロの花穂、果房管理とシャルドネのさらなる品質向上である。

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